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プレ王の日記にはちょくちょく書いていたが、新しいギター(Larrivee)を買って 今まで持っていたMartin D-28の音色がちょっと物足りなく感じたので、 プレ王で知り合ったOdysseyさんの「ギター工房オデッセイ」にお願いして、 ナット&サドル&ブリッジピンをTUSQ素材(人工の象牙のようなものらしい)に 変更してもらうということを試みた。 (要するに弦の張力がもろにかかるパーツで、弦の振動をボディに伝える役目を する部分。素材によって通過する周波数特性も違うのだろう) ちなみに変更前のオリジナル状態では一般的な樹脂素材のようである。 ここで私は、実際に素材変更前と変更後で音色の違いを聴いて 感覚的なコメントを残すだけではなく、それを定量的に分析できないかと思って オデッセイさんに次のような依頼をしておいた。 (これだけのことをサービスでやっていただいてありがとうございます!) 同じ弦・同じマイクを使って、TUSQに変更前と変更後で次の音を録音する。 マイク位置・弾く強さもなるべく同じになるようにする。 1.6弦開放ピッキング(E) 2.1弦開放ピッキング(E) 3.1弦12フレットピッキング(E) 4.1弦12フレットハーモニクス(E) 5.全弦でEメジャーコードダウンストローク(E B E G# B E) 6.全弦でタッピングハーモニクス(D A D G A D)←押尾コータローを意識(笑) 録音を含めたリペア作業の様子は、オデッセイさんのブログの5/27の記事から 3部構成で記されているので参照されたし。 リペアのまとめとして、ギター工房オデッセイの「リペアファイル」にも掲載されている。 さて、6/28にようやく引き取りに行って早速弾いてみた。 感覚的なコメントに関しては、その時のプレ王の日記に 書いているのでそちらを参照のこと。 その時に録音済みのWAVファイル一式をいただいて、周波数スペクトルを採った 結果をここで紹介する。本当はプレ王の日記に書くべき内容なのだが、 そちらに画像をアップできる機能が無いのでここで紹介することにした。。 周波数分析ソフトはフリーウェアのWaveSpectraを使用した。 フリーなのに大変高性能なソフトである。 このソフトでは、WAVファイルを再生しながら周波数分布波形を リアルタイムで見ることができるので、段々と音が減衰していく 様子がよく分かって見ているだけでも面白い。 また、その瞬間のピーク周波数とレベル(dB)も表示される。 (この辺りから、理数系に弱い人は読まないことをお勧めします^_^;) 本当は、周波数スペクトルが時間をかけてどのように減衰していくかを 3次元グラフで表示する機能もあるのだが、ちょっとばかし見づらいので ポイントを絞って2次元の波形を掲載することにした。 まず、ピッキングの直後にピーク周波数レベルが最も高くなった点の波形を 「アタック波形」と呼び、それからちょうど1秒後の波形を 「サスティン波形」と呼ぶことにする。 その2点での波形を、TUSQ化前後で6種類すべて掲載すると とんでもない量になってしまうので、違いが分かりやすかった 波形をピックアップして紹介したい。 例えば、5.の全弦ストロークなどはいろんな周波数が混じっていて 何が何だか分からないし、1.の6弦開放音だけでも意外に いろんな周波数の高次倍音成分が多いので見た目に分かりにくかった。 また、同じ1弦12フレットでは通常ピッキングよりもハーモニクスの 方が余計な倍音成分が少なくて(つまり、澄んだ、素朴な音) 分かりやすかった。 ※なお、この後頻繁に登場する「基音」「倍音成分」などの用語について 詳しく知りたい方は以下のリンクを参照するといいだろう。 Wikipedia の倍音の項目 音楽理論についていろいろと載っているサイト まず最初に紹介するのは2.の1弦開放ピッキング(E)だ。 (ブログの記事中の画像では画質が悪くて細かいところまで見れないので 画像をクリックして単独表示させると分かりやすいです) TUSQ化前(オリジナル)のアタック波形 ![]() TUSQ化後のアタック波形 ![]() さすがにアタックの瞬間はいろんな周波数成分が出ており、 一見するとあまり違わないように思える。 では、アタックの1秒後ではどうだろう。 TUSQ化前(オリジナル)のサスティン波形 ![]() TUSQ化後のサスティン波形 ![]() 1.3KHz及び、2KHz以上のレベルに着目すると、 明らかにTUSQの方が高いことが分かる。 この音の基音は約330Hzなので、1.3KHzは4倍(2オクターブ上) 2KHzは6倍(さらにその5度上)の成分ということになる。 つまりそれだけ高次倍音成分の減衰量が少ない=サスティンが長い とも言える。 ちなみにグラフの横軸(周波数)は対数目盛りになっていて、 100Hz〜1KHzは一目盛りが100Hz、 1KHz〜10KHzは一目盛りが1KHzとなっている。 次に紹介するのは4.の1弦12フレットハーモニクス(E)だ。 TUSQ化前(オリジナル)のアタック波形 ![]() TUSQ化後のアタック波形 ![]() ハーモニクス奏法は定常波を発生させて余計な倍音をなるべく 鳴らないようにするものなので、さすがに倍音成分のピークも少なめだ。 この音の基音は約660Hzであるが、3倍音の2KHzあたりがTUSQの方が 大きいことが分かる。ただ、それ以外の倍音成分は同じかむしろ オリジナルの方が大きい成分もある。 これが1秒後にはどうなるか。 TUSQ化前(オリジナル)のサスティン波形 ![]() TUSQ化後のサスティン波形 ![]() アタック時にはオリジナルの方が大きかった2倍音の1.3KHzは この段階でほぼ同等、3倍音の2KHz、5倍音の3.3KHz、6倍音の4KHzなど 軒並みTUSQの方がサスティンが長いと言える。 最後に、6.のDADGADチューニングでのタッピングハーモニクスを紹介する。 ここまで来ると元々いろんな周波数成分が多くて分かりにくくなるはず なのだが、さすがにハーモニクス系は特徴が現れやすかった。 但しアタック波形については、タッピングの瞬間は打撃音が主な成分になる。 打撃音は楽音(音程を感じられる音)とは違って決まった倍音成分だけで 構成されず、どの周波数も一様に高くて特徴が目立たないから ここでは割愛することにする。 特徴が現れるのは、打撃音が鳴り終わってハーモニクス音が残る 1秒後のサスティン波形だ。 TUSQ化前(オリジナル)のサスティン波形 ![]() TUSQ化後のサスティン波形 ![]() やはり元々複数の音程が鳴っているからピークの波形はたくさんあるものの、 オリジナルは3KHz以上の帯域になるとほとんどなくなっているのに比べて、 TUSQは6KHzを越えた辺りまで一定のレベルのピークが現れている。 ハーモニクスというのは、本来余計な倍音成分を抑えて正弦波に近い 「澄んだ」ような音色を出すというのが目的であるから、 そのような音色が欲しい場合にはこの素材は向かないかもしれない。 実際に身近なところで正弦波の音というと、NHK の時報の音など 味気ない音ではあるが、楽器ではフルートやオカリナなどの木管系が 比較的正弦波に近い。 しかしながら、押尾コータローのアップテンポな曲に見られるような ちょっとシャープな「ジャキーン」といった音色の場合は むしろこのセッティングが非常に合っている、ということになる。 個人的には、タッピングハーモニクスがそれらしく鳴るように なったことがとても嬉しかった。 また、通常のピッキング音でもいわゆる「鈴なりの高音」 「煌びやかな音色」に近づいた。 本来これらの語句はMartin の代名詞であったはずなので、 潜在能力を引き出せたということだろう。 これでこのD-28は、ますます叩き系ナンバーに特化したかもしれない。 TUSQ化後のD-28を使って演奏した押尾コータローの「HARD RAIN」を プレイヤーズ王国で公開したので是非聴いてみて欲しい。 ちなみにD-28を使っているのは右チャンネルで、 左チャンネルはLarriveeを使っている。 これはTUSQ化前から公開しているが、データを更新しただけなので 前後の聴き比べはできない(^^; そんなわけで、このような音が好みの人は、一度弦周りのパーツを 変更してみる試みをしてはいかがだろうか? 料金設定も他のギターリペアショップより安めで、 私の場合はブレイシング剥れの修理を含めても ギター本体価格(買値)の1割程度の出費で済んだ。 長文ご精読ありがとうございました。m(_ _)m |
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音色の研究記事、興味深く拝見しました。 |
shimio3 2006/07/22 05:57 |
先ほどのコメントの続きです。 |
shimio3 2006/07/22 05:58 |
わざわざこちらの方にコメントありがとうございます。元々はプレ王日記に掲載したかった内容ですのでお返事はそちらの方にさせていただきました。 |
Fワラ 2006/07/25 12:34 |
僕の4本も |
馬主さん 2009/07/21 14:05 |
はじめまして! |
Fワラ 2009/07/21 18:30 |
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